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小児の過敏性腸症候群
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小児の過敏性腸症候群(IBS)について

小児の過敏性腸症候群(IBS)は、大人と同様に、検査では異常が見つからないにもかかわらず、慢性的に腹痛と便通異常を繰り返す症状があります。登校前の時間帯など、特定の状況で症状が悪化しやすいのが特徴です。

小児の過敏性腸症候群の特徴

小児のIBSは、ストレスや心理的要因が深く関わっていることが多く、「腹痛型」「便秘型」「下痢型」などに分けられます。

典型的な症状

  • 腹痛:腹部全体、特におへその周りに痛みを訴えることが多いです。
  • 排便による症状の改善:排便をすると一時的に痛みが和らぐのが特徴的です。
  • 便通異常:下痢、便秘、または両方を交互に繰り返します。
  • 腹部の不快感・張り:お腹にガスがたまる(ガス型)症状を訴えることもあります。
  • 発症のタイミング:学校や外出など、ストレスや緊張を感じる状況で症状が出やすい傾向があります。特に朝の登校前に症状が悪化し、トイレにこもりっきりになることで不登校につながるケースもあります。

診断の目安(Rome IV基準)

国際的な診断基準では、最近3カ月間に、月に4日以上腹痛が繰り返し起こり、以下の項目の中から2つ以上を満たす場合にIBSが疑われます。

  • 排便と症状が関連する
  • 発症時に排便頻度の変化を伴う
  • 発症時に便性状(外観)の変化を伴う

注意すべき警告症状(レッドフラッグ・サイン)

IBSと似た症状でも、より重篤な病気(クローン病、潰瘍性大腸炎など)の可能性がある場合にみられる症状です。これらがある場合は、IBSではない可能性が高いため、精密検査が必要です。

  • 血便(便に血が混じる)
  • 夜間にお腹の痛みで目が覚める
  • 体重の減少
  • 発熱、関節痛
  • 腹部にしこりが触れる

小児の過敏性腸症候群の治療法

治療の基本は、生活習慣の改善と食事療法です。それらで不十分な場合に薬物療法や心理療法が検討されます。

1. 心理的サポートと生活習慣の改善

症状改善の土台となります。

理解と共感

お子さんの腹痛は気のせいではなく、本当に辛いことを理解し、症状を否定せず、じっくり話を聞いてあげることが大切です。

ストレス管理

学校生活や家庭内の環境を含め、ストレスの原因を特定し、適度な運動や趣味などでリラックスできる時間を作ります。

規則正しい生活

十分な睡眠と規則正しい食事、排便習慣をつけ、生活リズムを整えます。

食事療法

腸への刺激を減らし、腸内環境を整えることが目標です。

刺激物の制限

揚げ物などの高脂肪食、カフェイン(チョコレート、コーヒーなど)、炭酸飲料、辛い香辛料は腸を刺激するため控えます。

食物繊維の調整
  • 便秘型:水溶性食物繊維(海藻類、バナナ、カボチャなど)を適度に取り入れ、便を柔らかくします。
  • 下痢型・腹部膨満型:ガスを発生させやすい不溶性食物繊維(ゴボウ、ナッツなど)や、オリゴ糖を多く含む食品を摂りすぎないよう注意が必要です。
  • 低FODMAP食:小麦、玉ねぎ、乳製品など、腸内で発酵しやすい特定の糖質(FODMAP)を制限する食事法が、症状を改善させることが報告されていますが、栄養バランスを崩さないよう医師や管理栄養士の指導の下で行うことが推奨されます。

薬物療法

症状のタイプに応じて、以下のような薬が使われます。

全タイプ

薬:消化管運動機能調節薬(ポリフィルカルシウム、トリメブチンマレイン酸塩など)、整腸剤(プロバイオティクス)
作用:腸の異常な動きを整え、腸内環境を改善する。

下痢型

薬:止痢薬、5-HT3受容体拮抗薬(主に思春期の男子など)
作用:腸管の過敏性を抑える。

便秘型

薬:便秘薬(浸透圧性下剤や新規便秘薬など)
作用:便の滑りを良くしたり、水分を増やして排便を助ける。

腹痛

薬:抗コリン薬、漢方薬(桂枝加芍薬湯、小建中湯など)
作用:痛みを和らげる。

心理的要因が強い場合

薬:抗不安薬、抗うつ薬(低用量)
作用:脳腸相関の乱れを改善する目的で用いられることがあります。

最後に

小児のIBSは、成長とともに自然に改善していくことも期待できますが、治療を通じて症状をコントロールし、学校生活などのQOL(生活の質)を維持することが大切です。医師と相談しながら、お子さまに合った治療法を見つけていきましょう。

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