ヒトメタニューモウイルス
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ヒトメタニューモウイルス(hMPV)について
ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は、主に乳幼児や高齢者にみられる急性の呼吸器感染症(いわゆる風邪や気管支炎、肺炎)を引き起こすウイルスです。2001年に発見されたウイルスですが、未知の病気ではなく、毎年春先に多く流行する呼吸器ウイルスのひとつです。
ヒトメタニューモウイルスの特徴
- 潜伏期間は4〜5日(あるいはそれ以上)
- RSウイルスやインフルエンザとよく似た症状
- 高熱(38.5℃以上)が4〜5日間ほど比較的長く続くこともある
- 激しい咳・鼻汁があり、咳は1週間〜10日前後長引く
- 息を吐くときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がしやすく(喘鳴)、気管支喘息のある方は発作を誘発されやすい
- 1〜3歳の幼児を中心に、5歳までに大半の小児が一度は感染し、生涯にわたり何度も再感染を繰り返す(再感染時は徐々に軽症化)
- 高齢者や基礎疾患のある成人が感染すると重症化(肺炎など)のリスクがある
- 例年、3月〜6月頃(春先)に流行
- 飛沫感染(咳やくしゃみ)および接触感染(ウイルスがついた手やドアノブ、おもちゃを触る)
診断(迅速検査)
- 症状や周囲の流行状況から臨床的に診断されることが多いです。
- インフルエンザと同様に、鼻の奥を綿棒でぬぐう「迅速診断キット(約5分〜)」を使用します。健康保険の適用は「6歳未満」かつ「レントゲン等で肺炎が疑われる場合」です。
治療内容
ヒトメタニューモウイルスを直接退治する抗ウイルス薬(特効薬)や、予防のためのワクチンは確立されていません。
そのため、治療の基本は症状を和らげる「対症療法」と「自宅でのケア」になります。
対症療法
症状に応じて、呼吸を楽にしたり体力を維持したりするための薬を使用します。
解熱鎮痛薬
高熱に対しては解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)を使用
気管支拡張薬(貼り薬や吸入、内服)
「ゼーゼー」という喘鳴が強いときや、気管支炎を起こして気道が狭くなっているときに、空気の通り道を広げて呼吸を楽にします。
去痰薬・抗アレルギー薬
粘り気のある痰を出しやすくしたり、咳を鎮めたりします。
抗菌薬(抗生物質)
ウイルス自体には効きませんが、発熱が5日以上長引いて「二次性細菌感染(細菌性肺炎や中耳炎)」を合併していると医師が判断した場合にのみ服用します。
自宅でのケア
- 激しい咳や熱を乗り切るために、室内環境を整えることが効果的です。
- 十分な加湿:咳がひどいときは、加湿器の利用や部屋に洗濯物を干すなどして、室内の湿度を高く保つと気道への刺激が優しくなり、痰が出やすくなります。
- こまめな鼻吸い:乳幼児の場合は、食事の前や寝る前にしっかり鼻水を吸ってあげることで、咳き込みや中耳炎の予防、睡眠の質の向上につながります。
- 水分補給と食事の工夫:咳き込んで吐きやすい(咳き込み嘔吐)時期は、一度にたくさん食べさせず、おかゆやうどん、ゼリーなど、のどごしが良く消化に良いものを少しずつ小分けにして与えます。水分はジュースや経口補水液などで、少しずつでも確実に補給させることが脱水予防に重要です。
すぐに受診が必要な「重症化のサイン」
乳幼児や高齢者において、以下のような呼吸困難の兆候がみられる場合は、気管支炎や肺炎が悪化している可能性があるため、速やかに医療機関(夜間・休日であれば救急など)を受診してください。
- 息を吸うときに、鎖骨の上や肋骨の間、胸の真ん中がペコペコへこむ(陥没呼吸)
- 息を吸うたびに小鼻がピクピク広がる(鼻翼呼吸)
- 呼吸の回数が明らかに早い(1分間に40〜50回以上が目安)
- 咳やゼーゼーが激しくて、夜全く眠れない、水分が一切摂れない
- 顔色や唇の色が悪い(青白い、あるいは土気色)
